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作品紹介
プロフィール
偶然の音楽
白井晃による待望の舞台化
不可解な現実世界を、簡潔で詩的な文体と、寓話を織り込んだ独特のスタイルで描き続けているポール・オースターは、世界20数ヶ国で翻訳され、現代文学界の中でも最も多くの読者と大きな影響力を持つ作家の一人です。
今回、01年の『ムーン・パレス』の舞台化に続きポール・オースター作品の演出に挑む白井晃は、メディアを越えた多彩な経験と豊かな感性から、美意識の高い緻密な舞台を生み出すことに定評があります。オースターの作品の中でも特に寓話性が強く、彼ならではのエッセンスと魅力にあふれた『偶然の音楽』。その謎めいた奇想天外なストーリーとスリリングな駆け引き、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語を、臨場感あふれる「硬質な大人のファンタジー」として白井晃が描き出します。
贅沢な創作環境から生まれるよりリアルで新しい小説世界
世田谷パブリックシアターではこれまでも『アメリカ』『エレファント・バニッシュ』など、ワークショップやドラマ・リーディングを繰り返しながら、国内外の現代文学を演劇作品として創造し上演してまいりました。また白井晃自身もドラマ・リーディングから出発した、シアタートラムでの演出作品フィリップ・リドリー作『ピッチフォーク・ディズニー』(02年)『宇宙でいちばん速い時計』(03年)、ゲイリー・オーウェン作『溺れた世界』(04年)を手がけ、台詞やシーンを実際に俳優の身体を通しながら確認することによって、表現をより研ぎ澄ました新たな作品世界を生み出しています。
今回の『偶然の音楽』ではさらにその手法を進め、演出の白井晃が劇団遊◎機械/全自動シアターで培った集団創作という方法により、出演者がそれぞれの感覚と表現で、作品世界を練り上げていきます。演出家の「偶然の音楽設計図」を元に、9月から約2ヶ月間、たっぷりと時間をかけて行うワークショップは、まさに、小説の中の言葉を一つ一つ検証し、舞台作品としての息吹を吹き込んでいく共同作業です。こうして生まれてくる舞台は、よりリアルで、そして新たな魅力に満ちたポール・オースターの世界に私たちを誘ってくれることでしょう。
<望みのないものにしか興味のもてない>主人公ナッシュと、若き天才ギャンブラーのポッツィが辿る数奇な運命を描いた『偶然の音楽』は、ポール・オースターが『ムーン・パレス』に続いて、90年に発表した長編小説です。突然転がり込んできた遺産で車を買い、全米を旅してまわるナッシュ。しかし本当の物語は、彼が「動く」ことをやめたところから始まります。閉塞的な移動をやめ、人と関わり始めることによって、ナッシュは様々な経験をしていきます。物語を通した彼の心象に非常に共鳴し、演出家自身が自分でやりたいとまで思ったナッシュを今回演じるのが、内に秘めたエネルギーと「静」なる存在感が魅力の仲村トオル。そして、幻影のようにナッシュの前に現れてまた消えてしまった謎の若者ポッツィに、白井作品には『宇宙でいちばん速い時計』に続いて2度目の出演となる小栗旬。そして、彼らがポーカーを挑む大富豪の男たち役の大森博史と小宮孝泰を始め、三上市朗、櫻井章喜、月影瞳と、実力+人気+個性を兼ね備えた見応えのある俳優陣と、この作品が初舞台となる山田麻衣子のフレッシュな顔合わせにも注目が集まっています。

■「偶然の音楽」〈The Music of Chance〉あらすじ
妻に去られたナッシュに、突然、行方知れずだった父親から遺産が転がり込んだ。その遺産で新車の赤いサーブを買うと、あとはすべてを捨てて目的のない放浪の旅に出た彼は、クラシック音楽を聴きながら、まる一年アメリカ全土を走り回り、“十三ヵ月目に入って三日目”に、謎の若者ポッツィと出会った。“望みのないものにしか興味の持てない”男ナッシュは、この博打の天才ポッツィに出会って、自分の旅を終わらせようとする。宝くじで一躍大富豪となった二人の男を相手に、ポッツィと共にポーカーで一山当てようと目論んだのだ。しかし、そこにはただ毎日石を運ぶだけの生活が待っていた・・・。

■主な登場人物
◇ジム・ナッシュ <この物語の主人公> 仲村トオル
◇ジャック・ポッツィ <ナッシュが旅の途中で出会う若者。ポーカーの腕が良い>…………小栗旬
◇ウィリアム・フラワー <宝くじで大富豪になった男。がっしりとたくましい体型>…………大森博史
◇ウィリアム・ストーン<宝くじで大富豪になった男。痩せている>…………小宮孝泰
◇カルヴィン・マークス <フラワーとストーンの使用人>…………三上市朗
◇ティファニー <痩せたブロンドの髪の娼婦> …………山田麻衣子
◇フロイド<マークスの義理の息子。がっしりした赤ら顔の大男>…………櫻井章喜
◇ナッシュの妻…………月影瞳
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